ミルラというハーブをご存知ですか?
日本ではあまり見かけませんが、古代エジプト時代から神秘のハーブとして人々の暮らしに深く関わってきました。
その珍しいハーブの一風変わった使用方法と、ミルラにまつわる伝説をご紹介しましょう。
ミルラは樹脂をハーブとして使う

一般的にハーブは花や葉などを利用することが多いですが、ミルラは「樹脂」を利用します。
ミルラの木の樹皮をナイフなどで傷つけると、赤い樹液が染み出してきます。
それが固まった樹脂は、甘くも苦味のある、奥行きを感じる香りを放つのです。
ミルラの名前の由来はその「苦味」から
ミルラという名前は、アラビア語の「murr(苦い)」に由来します。
これは、ミルラの樹脂が放つ特徴的な苦味のある香りを表しているんですよ。
古代エジプトでは儀式に使用
古代エジプトでは、神聖な儀式の際に「香」として使用されました。
その深みのある香りは瞑想などに向いており、神聖な雰囲気を醸し出すことが可能だったのでしょう。
ミルラにまつわる神話や聖書のエピソード

ミルラは、その神秘的な香りから神話や聖書にも登場するハーブなんです。
その逸話の一部をご紹介しましょう。
ギリシャ神話の悲しい逸話
ギリシャ神話では、その名もミルラ(ミュラーとも呼ばれる)という少女が登場します。
ミルラは家族に恋をしたことで追われる身となり、ついには捕まってしまいました。
彼女は神々によってミルラの木に変えられ、その樹液は彼女の涙であるという悲しい伝説です。
聖書で語られるイエスへの贈り物
聖書には、ミルラについての記述がいくつかあります。
まず、イエスが降誕した際に東の国の学者から「没薬」を贈られたというエピソードです。
没薬とは、ミルラの樹液のこと。
またイエスが磔にされた際には、人々が没薬を混ぜたぶどう酒を与えようとしたそうです。
その理由は、没薬には痛み止めの効果があると信じられていたためでした。
しかしイエスはそれを固辞し、痛みを受け入れたと言われています。
ミルラは金と同等の価値があった

ミルラは非常に貴重なハーブとされ、その樹液は非常に高価だったと言われています。
特に古代のアラビア半島では、ミルラは「液体の金」と呼ばれるほど貴重な交易品でした。
なんと金と同価値で取引され、富の象徴として王族や貴族に愛されたそうですよ。
現代でも、通常の精油よりは高価なものとなっております…
が、それだけの価値はあるものです!
まとめ
ミルラという珍しいハーブは、樹液を利用する変わったハーブです。
その苦味を含んだ神秘的な香りは古代エジプトから利用され、ギリシア神話や聖書にも登場しました。
その価値は金と同等だったというから驚きですよね。
神秘的なミルラの精油の香り、機会があればぜひ楽しんでみてくださいね。